【2026年最新】生産性向上推進体制加算とは?単位数(月100/10単位)と算定要件をわかりやすく解説
令和6年度に新設された「生産性向上推進体制加算」の単位数(加算Ⅰ:月100単位/加算Ⅱ:月10単位)と算定要件を厚労省公表資料に沿って整理。見守り機器・インカム・介護記録ソフトの導入要件から、現場で成果を出すPDCAの回し方まで、介護事業者がそのまま使える実践ガイドです。

「生産性向上推進体制加算」は令和6年度(2024年度)の介護報酬改定で新設された加算で、加算Ⅰは利用者1人あたり月100単位、加算Ⅱは月10単位を算定できます。加算Ⅱはテクノロジー機器1つ以上の導入と委員会の運営・年1回以上のデータ提出が要件で、加算Ⅰはこれに加え、見守り機器・インカム等のICT機器・介護記録ソフトの3種類すべての導入と職員の役割分担(介護助手の活用等)が求められ、加算Ⅰ・Ⅱは同時算定できません(厚生労働省 老健局 公表資料)。
本記事を読むとわかること:
- 加算Ⅰ(月100単位)と加算Ⅱ(月10単位)の算定要件の違い
- 見守りセンサー・インカム・介護記録ソフトの具体的な活用例とAI連携の実装ポイント
- 加算取得後に成果を出すPDCAサイクルとセキュリティ運用のチェックリスト
生産性向上推進体制加算とは|制度の目的と全体像
生産性向上推進体制加算は、介護現場における生産性向上を目的として、テクノロジーの導入や業務プロセスの改善に組織的に取り組む施設を評価・支援する制度です。令和6年度(2024年度)の介護報酬改定において新設され、深刻化する人材不足への対策として、職員の負担軽減と質の高いケアの両立を目指しています。
単なる機器の購入補助とは異なり、本加算の評価軸は「導入したテクノロジーを活用して、いかに現場の業務フローを見直し、職員の直接ケアの時間を増やせたか」という点にあります。そのため、推進委員会の設置や、データに基づいた効果測定など、組織全体での継続的な取り組みが求められます。
なお、本加算と「夜間支援体制加算」「夜勤職員配置加算」など人員配置基準の緩和に関する加算は別制度です。混同しないよう、自施設の対象サービス類型に応じて要件を確認してください。
生産性向上推進体制加算の単位数と算定要件(加算ⅠとⅡの違い)
生産性向上推進体制加算は、加算Ⅰと加算Ⅱの2区分で構成され、単位数と求められる取り組みのレベルが明確に異なります。加算Ⅰは加算Ⅱの上位に位置づけられ、両者を同時に算定することはできません(厚生労働省 老健局公表資料)。
| 項目 | 生産性向上推進体制加算(Ⅱ) | 生産性向上推進体制加算(Ⅰ) |
|---|---|---|
| 単位数 | 月10単位/利用者1人 | 月100単位/利用者1人 |
| テクノロジーの導入 | 見守り機器、インカム等のICT機器、介護記録ソフトのいずれか1つ以上 | 上記3種類すべてを導入 |
| 委員会の運営 | 利用者の安全と職員負担軽減を検討する委員会の開催・必要な安全対策 | 加算Ⅱの要件に加え、業務改善取組の継続実施 |
| 業務改善ガイドラインの活用 | 厚労省「介護分野における生産性向上に資するガイドライン」に沿った継続的改善 | 加算Ⅱ同様に継続実施し、改善成果が確認できること |
| データ提出 | 1年に1回以上、業務改善の取組による効果データを厚労省へ提出 | 加算Ⅱのデータにより業務改善の成果が確認されていること |
| 役割分担の取組 | — | 介護助手の活用等、職員間の適切な役割分担の取組 |
| 同時算定 | 加算Ⅰと併算定不可 | 加算Ⅱと併算定不可 |
加算Ⅱは生産性向上に向けた体制づくりの初期段階を評価する区分で、まずはここから取得を目指すのが現実的です。加算Ⅰは加算Ⅱの取り組みを3か月以上継続して効果が確認できた段階で、3種類のテクノロジー連携と役割分担を整え、上位区分への移行を検討する流れになります。
介護現場でのICT・AI活用具体例と導入メリット

生産性向上推進体制加算を取得するためには、施設の課題解決に直結するテクノロジー機器を選定することが不可欠です。ここでは、加算要件で求められる3種類のテクノロジーごとに、具体的な活用例とメリットを整理します。
見守り機器(センサー) ベッドセンサー・離床センサー・カメラ型見守り機器などを指します。利用者の離床や体動を検知してスタッフへ即座に通知が届くため、夜間の不要な巡視を減らし、必要なタイミングで迅速な対応が可能になります。
インカム等のICT機器 スタッフ間の情報共有をリアルタイム化する機器です。記録の音声入力や画像送信に対応した業務用スマートフォン型インカムを導入すれば、ナースコール・センサー通知・スタッフ間連絡を1台に集約でき、フロアを跨ぐ移動と「呼び出されてから対応するまでのロス」を圧縮できます。
AI機能搭載の介護記録ソフト 音声入力による記録作成の効率化や、蓄積されたデータから利用者の状態変化を予測するAI機能を備えたソフトです。手書きの二重記録や転記作業がなくなり、間接業務の時間を大幅に削減できます。
これらのテクノロジー導入には初期費用が発生しますが、各種支援制度を活用することで負担を抑えられます。具体的なコストや補助金については、【2026年版】生成AI導入費用の相場と内訳|最大450万円の補助金と失敗しないステップ を参考に、施設規模に合った予算計画を立ててください。
業務プロセスの見直しと推進体制の構築手順

機器を導入した後に陥りやすい失敗は、既存の業務フローを変えずに新しいツールだけを上乗せしてしまうことです。ICTを介護業務に組み込む際は、従来の紙による二重記録や不要な申し送り会議を廃止するなど、業務プロセス全体の見直しを並行して行う必要があります。
推進体制を構築する手順は次の3ステップが基本です。
- 推進委員会の設置: 現場のリーダーを中心に委員会を立ち上げ、どの業務を効率化すべきか、現場の課題を洗い出します。委員会は加算Ⅱの段階から定期的に開催し、議事録と改善計画を残します。
- 既存業務の棚卸し: 各スタッフが何に時間を割いているかを可視化し、削減可能な間接業務(記録・転記・申し送り・巡視等)を特定します。
- 段階的な導入計画: いきなり全フロアに導入するのではなく、一部のユニットから試験運用を始め、成功事例を作ってから他フロアへ展開します。
他業界におけるテクノロジー活用の成功事例は、業務見直しの大きなヒントになります。たとえば、【2026年版】建設業AIの活用事例7選|建築設計の業務効率化を実現する具体例と導入ステップ を参考に、現場の負担を増やさずに自動化を進めるアプローチを取り入れることも効果的です。
費用対効果の検証とPDCAサイクルの回し方

生産性向上推進体制加算の要件を満たすためには、導入したICT機器やAIツールが現場にどのような変化をもたらしたのかを定量的に測定する必要があります。年1回以上、業務改善の取組による効果データを厚生労働省に提出することが求められており、客観的な指標を継続的に追える設計が重要です。
効果測定で押さえるべき具体的な指標例は次のとおりです。
- 夜間巡視の回数と所要時間の変化
- 職員の歩行距離や待機時間の短縮幅
- 記録業務にかかる時間の削減率
- 利用者あたり直接ケア時間の増加量
注意すべきは、データ収集自体が目的化し、職員の業務負担を増やしてしまうことです。効果測定のための新たな入力作業は最小限に留め、見守り機器のログや介護記録ソフトから自動抽出できるデータを活用する設計が求められます。
このとき、【2026年版】生成AIで社内・自社データを活用する7ステップ|LINEヤフー年70万時間削減に学ぶRAG導入 で解説しているデータ連携の考え方を応用し、既存の介護記録から手間なく実績を可視化する仕組みを目指しましょう。
運用時の注意点と情報セキュリティ対策

新しいシステムを現場に定着させる上で、最も配慮すべきなのが職員の「ITリテラシー格差」への対応です。導入初期は操作に不慣れなため、一時的に業務量が増加するケースも少なくありません。操作マニュアルの整備や定期的な研修を実施し、一部の職員に業務が属人化しないようサポートする体制が必要です。
加えて、ICTやAI機器の導入効果を最大化するには、情報の安全管理体制の構築が欠かせません。利用者のプライバシー保護とデータ漏えい対策は、加算の要件を満たすだけでなく、施設への信頼を維持する上で極めて重要です。
強固なセキュリティ基準を満たすネットワーク環境の構築に加え、パスワードの使い回し防止や私用端末での業務データ閲覧禁止など、明確な運用ルールを策定してください。ルール策定に迷う場合は、【2026年版】生成AI利用ガイドラインの作り方|企業向けサンプルひな形と7つの対策 を参考に、自施設の対象サービスに合わせて読み替えながら基準を整備すると、加算要件と整合した運用ルールを短期間で作れます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 生産性向上推進体制加算Ⅰと加算Ⅱは同時に算定できますか? できません。加算Ⅰは加算Ⅱの上位区分のため、同一サービス類型では一方のみを算定します(厚労省 老健局 公表資料)。
Q2. 加算Ⅰを取得するために、どの順番で進めるのが現実的ですか? まず加算Ⅱの要件(テクノロジー1種以上+委員会+データ提出)を満たして3か月以上継続し、業務改善の効果が確認できた段階で、3種類のテクノロジー連携と役割分担を整え、加算Ⅰへの移行を申請するのが標準的な流れです。
Q3. 加算で言う「テクノロジー3種類」とは具体的に何を指しますか? (1)見守り機器、(2)インカム等のICT機器、(3)介護記録ソフト の3つです。加算Ⅰではこれらをすべて導入し、相互に連携運用していることが要件となります。
Q4. 算定対象となる介護サービスは? 特養・老健・介護医療院・特定施設・地域密着型サービスなど施設・居住系の対象サービスが中心です。自施設のサービス類型と区分(短期/長期等)が対象に含まれるかは、最新の厚労省通知(介護報酬改定 Q&A)を必ず確認してください。
Q5. 委員会はどの頻度で開催すれば良いですか? 加算Ⅱでは「定期的な開催」が要件で、運用上は3か月に1回程度を目安にしている事業者が多く見られます。加算Ⅰではこれを継続実施し、議事録と改善実績を残すことが求められます。
Q6. 介護助手とは誰のことですか? 資格を要しない補助的業務(清掃・配膳・物品補充など)を担うスタッフを指します。加算Ⅰの「役割分担」要件では、介護助手の活用等により、有資格者がより専門的な直接ケアに注力できる体制を整えることが想定されています。
まとめ
介護現場の持続可能な発展には、業務効率化とケアの質向上が不可欠です。令和6年度に新設された「生産性向上推進体制加算」は、その実現を後押しする重要な制度です。
要点を振り返ります。
- 加算Ⅰ(月100単位)と加算Ⅱ(月10単位)の算定要件の違いを理解し、まずは加算Ⅱから段階的に取得する
- 見守り機器・インカム等のICT機器・介護記録ソフトの3種類を、施設課題に合わせて段階的に導入する
- 推進委員会を設置し、機器の導入に合わせて従来の業務プロセスを根本から見直す
- 導入効果を定量的なデータで測定し、年1回以上のデータ提出と継続的なPDCAを回す
- 職員のITリテラシーに配慮した研修体制と、強固な情報セキュリティルールを整備する
生産性向上推進体制加算の算定をきっかけとして、組織全体でテクノロジーを活用し、現場スタッフが本来のケア業務に集中できる働きやすい環境を構築していきましょう。




