DX推進パスポートとは?2026年版バッジ3種の取得方法とDX推進7ステップ
DX推進パスポートはITパスポート・G検定・DS検定の合格数に応じてバッジ1〜3が無料で発行されるデジタルバッジです。発行元・申請手順・名刺/履歴書での活用法、混同されがちな「DXパスポート試験」との違い、IPA「DX動向2025」最新データに基づくDX推進7ステップまで2026年最新版で解説します。

「DX推進パスポート」とは、デジタルリテラシー協議会が「ITパスポート試験」「G検定」「DS検定 リテラシーレベル」の合格数に応じて発行する、無料のデジタルバッジです。費用は一切かからず、3試験のうち1つ合格で「DX推進パスポート1」、2つで「2」、すべて合格で最上位の「3」が発行されます。本記事では、DX推進パスポートの正確な取得要件・申請手順・名刺や履歴書での活用法を整理したうえで、IPA「DX動向2025」を踏まえた組織変革を成功に導くDX推進7つの実践ステップを解説します。
DX推進パスポートとは?2026年最新の正式情報まとめ

DX推進パスポートは、DX推進を担うチームメンバーに必要な基本的スキルを有することを示す国際標準のオープンバッジです。試験そのものではなく、3つの公的試験の合格状況に応じて発行されるデジタルバッジである点が最大のポイントです。
発行元はデジタルリテラシー協議会(IPA・JDLA・DS協会の3団体)
発行・運営しているのは「デジタルリテラシー協議会(Di-Lite)」です。これは独立行政法人情報処理推進機構(IPA)、日本ディープラーニング協会(JDLA)、データサイエンティスト協会の3団体による共同運営組織で、経済産業省はオブザーバーとして参加しています。経産省が単独で発行する制度ではない点に注意してください。
発行は2024年2月に開始され、申請から発行までの期間は約1か月、取得費用は無料です。Webブラウザで管理できる「オープンバッジウォレット」に格納され、改ざん防止のためブロックチェーン技術が利用されています。
対象となる3つの試験と「DX推進パスポート」3段階バッジ
DX推進パスポートの対象は以下の3試験で、基本情報技術者試験や情報セキュリティマネジメント試験は対象外です。
| 試験名 | 主催 | 領域 |
|---|---|---|
| ITパスポート試験 | IPA | ITに関する基礎知識 |
| G検定 | JDLA | AI・ディープラーニングの基礎知識 |
| DS検定 リテラシーレベル | データサイエンティスト協会 | データサイエンスの基礎知識 |
合格した試験の数に応じて以下の3段階のバッジが発行されます。
| バッジ | 取得要件 |
|---|---|
| DX推進パスポート1 | 上記3試験のうちいずれか1つに合格 |
| DX推進パスポート2 | 上記3試験のうちいずれか2つに合格 |
| DX推進パスポート3 | 上記3試験のすべてに合格 |
申請方法と必要情報
申請はデジタルリテラシー協議会の公式サイト(dilite.jp/passport)の発行依頼フォームから行います。各試験の合格証書番号などの合格者ID、メールアドレス、氏名、生年月日が必要です。デジタルバッジは取得した試験の主催団体が個別に発行する公式合格証とは別物のため、公式な合格証明には各試験の合格証を使ってください。
DX推進パスポートを取得する3つのメリットと「意味ない?」への回答
「DX推進パスポートは意味ない」と検索する人も一定数いますが、用途を理解すれば十分に活用できます。取得の本質的なメリットは次の3点です。
メリット1:社内のデジタルリテラシーを可視化できる
社員のIT・AI・データの基礎リテラシー保有状況を、オープンバッジによって客観的に可視化できます。社内研修の到達度ベンチマークとして使えるほか、リスキリング施策の進捗管理にも有効です。
メリット2:名刺・履歴書・SNSで個人の学習成果をアピールできる
オープンバッジはURLやQRコードで共有可能なため、名刺・電子履歴書・LinkedIn等のSNSプロフィールに貼り付けて学習成果を客観的に示せます。特に「DX推進パスポート3」は3試験すべてに合格した証であり、デジタル人材としての基本的素養を一目で伝えられます。
メリット3:採用ブランディングと社外発信に使える
社内の取得者数を公表することで、採用市場で「DXに本気で取り組んでいる企業」というブランドを築けます。DX認定制度やDX銘柄の取得を目指す企業にとっても、人材育成の客観指標として活用できます。
「意味ない」と言われる理由とその反論
「意味ない」と言われる主な理由は、(1) 試験そのものではなく既存の合格資格を組み合わせたバッジに過ぎない、(2) 直接的な業務独占資格ではない、の2点です。一方で、無料で取得でき、3試験を体系的にカバーしていることを社内外に証明できる手段は他にありません。資格そのものというより「学習成果のポートフォリオ」として位置づけると価値が明確になります。
「DXパスポート試験」と「DX推進パスポート」の違い
検索でよく混同されるのが「DXパスポート試験(基礎レベル)」と「DX推進パスポート」です。両者はまったく別の制度なので注意してください。
| 比較項目 | DX推進パスポート | DXパスポート試験 |
|---|---|---|
| 種別 | デジタルバッジ | 試験 |
| 発行/主催 | デジタルリテラシー協議会 | 一般社団法人 全日本情報学習振興協会 |
| 対象 | ITパスポート/G検定/DS検定の合格者 | 受験者全員 |
| 費用 | 無料 | 有料(受験料あり) |
「DX推進パスポート」は3試験の合格者向けのバッジ、「DXパスポート試験」は単独の認定試験です。本記事のテーマは前者(DX推進パスポート)のみを指します。
DX推進とは?デジタル化・IT化との決定的な違い
DX推進パスポートが注目されている背景には、そもそも「DX推進」が何を指すのかという理解の浸透があります。
DX推進(デジタルトランスフォーメーション推進)とは、単なるITツールの導入ではなく、データやデジタル技術を活用してビジネスモデルや組織文化を根本から変革する取り組みです。
IT化・デジタライゼーションとの違い
| 用語 | 内容 |
|---|---|
| IT化(デジタイゼーション) | 既存の紙業務をシステム化する |
| デジタライゼーション | 業務プロセスの一部をデジタル化して効率化する |
| DX推進 | デジタル前提で新しい顧客価値とビジネスモデルを生み出す |
DX推進の真の目的は、デジタル技術を前提とした新しい顧客価値の創出と競争優位性の確立です。
IPAが2025年7月に公開した「DX動向2025」によると、日本企業の85.1%でDXを推進する人材が不足しており、米国・ドイツと比べて著しく高い水準です。なかでもビジネスアーキテクト(ビジネス変革を設計・推進する人材)とデータサイエンティストの不足が顕著で、DX推進の最大の障壁となっています。
企業がDX推進を成功に導く7つの実践ステップ

DX推進はツール導入だけでは完結しません。組織全体を巻き込んで変革を成功させるための7つのステップを解説します。
ステップ1:目的・ビジョンの明確化と経営層のコミットメント
経営層が「なぜDXが必要なのか」「デジタル技術を使ってどんな新しい価値を提供するのか」を明確に打ち出します。経営陣の強いコミットメントと現場へのメッセージ発信がなければ、組織は動きません。経営層がDX推進パスポートやITパスポートを率先して取得することも、メッセージ発信として有効です。
ステップ2:DX推進指標を用いた現状分析と課題特定
ビジョンが固まったら現在地を把握します。経済産業省・IPAが提供する「DX推進指標」を使い、自社の取り組み水準とITシステムの現状を客観的に評価しましょう。診断結果から優先的に解決すべき課題を洗い出します。
ステップ3:DX推進計画と中長期ロードマップの策定
現状とビジョンのギャップを埋めるロードマップを描きます。どの業務領域からデジタル投資を進めるかを決め、必要なシステム要件と予算を定義します。予算計画については、生成AI導入支援はいる/いらない?コンサルvs内製化の判断基準と費用相場も参考にしてください。
ステップ4:DX推進パスポートを活用した人材育成

計画を実行する人材を確保します。「DX推進スキル標準(DSS-P)」に基づき、ビジネスアーキテクト・データサイエンティスト・サイバーセキュリティ等の必要人材像を定義し、社内育成または外部採用を行います。社内教育の到達指標として、前述のDX推進パスポート1〜3の取得者数をKPIに設定するのが効果的です。詳細な人材育成のステップは、【2026年版】DX推進計画の作り方|DX推進スキル標準ver.1.2で人材不足を解決する7ステップを参照してください。
ステップ5:セキュアなAI技術の導入とガバナンス体制構築
最新のAIやデジタルツールを導入する際は、ガバナンスとセキュリティの徹底が不可欠です。機密情報漏洩やシャドーITを防ぐため、明確なガイドラインを策定します。具体的なルールの作り方は、【2026年版】生成AI利用ガイドラインの作り方|企業向けサンプルひな形と7つの対策や、【2026年版】AIガバナンスとは?生成AI導入の失敗を防ぐ企業向けガイドラインと6つの手順を参考にしてください。
ステップ6:業務フローの再設計と人間・AIの役割分担

ツールを配るだけでは現場は混乱します。議事録作成やリサーチ業務など、どのプロセスをAIエージェントに委ね、人間はどの付加価値業務に集中するのか、役割分担を再定義します。現場の反発を防ぐコツは 【2026年版】業務効率化の言い換え10選|AI導入で現場の反発を防ぐビジネス例文と組織マネジメント を、現場定着の体系的な手順は 【2026年版】DX組織変革とは?AIが浸透しない3大原因と現場に定着させる5ステップ+フレームワーク を併せて確認すると効果的です。
ステップ7:外部評価の活用と継続的な改善サイクル
一度のシステム導入で終わらせず、PDCAを回し続けます。「DX認定制度」「DX銘柄」「DXセレクション」などIPA・経産省の外部評価を中長期目標に設定すると、組織のモチベーションを高めながら変革を加速できます。
よくある質問(FAQ)
DX推進パスポートは試験ですか?
いいえ、試験ではありません。ITパスポート試験・G検定・DS検定リテラシーレベルの3試験の合格者が無料で申請して取得できるデジタルバッジです。バッジ自体に試験はなく、合格証書番号があれば申請できます。
DX推進パスポートとDXパスポート試験は違うものですか?
完全に別の制度です。DX推進パスポートはデジタルリテラシー協議会が発行する無料のデジタルバッジで、DXパスポート試験は全日本情報学習振興協会が主催する有料の試験です。テーマや発行主体が異なるため、混同しないようにしてください。
DX推進パスポートの難易度はどのくらいですか?
バッジ自体に試験はないため、対象3試験の難易度がそのまま取得難易度になります。ITパスポート試験は初級レベルのIT知識を問う試験で、非エンジニアでも数十時間の学習で十分合格を目指せます。G検定とDS検定リテラシーレベルも非エンジニア向けの基礎レベルで、独学でも合格可能な範囲です。
DX推進パスポートを名刺や履歴書に書いてもいいですか?
問題ありません。オープンバッジはURLやQRコードで共有可能なため、名刺へのバッジQR印刷、電子履歴書への記載、LinkedInなどSNSプロフィールへの埋め込みなどに活用できます。「DX推進パスポート3」は3試験すべての合格を示す最上位バッジのため、特にアピール力があります。
DX推進を何から始めればいいかわかりません
最初に経営層が「DXによって何を実現したいか」のビジョンを明確化することです。その後、IPAの「DX推進指標」を用いて自社の現状ITインフラと組織課題を可視化し、人材育成・ガバナンス・業務フロー再設計を段階的に進めるのが最も確実な手順です。
DX化とIT化の違いは何ですか?
IT化は既存のアナログ業務をデジタルツールに置き換えて効率化することです。一方、DX(デジタルトランスフォーメーション)化は、デジタル技術を前提としてビジネスモデルや組織文化そのものを変革し、競争優位性を確立することを意味します。
まとめ
本記事ではDX推進パスポートの正しい取得要件と、組織変革を成功に導くDX推進7つの実践ステップを解説しました。
- DX推進パスポートの正体: デジタルリテラシー協議会(IPA・JDLA・DS協会)が発行する無料のデジタルバッジ。ITパスポート・G検定・DS検定の3試験合格状況に応じてバッジ1〜3が発行される
- 「DXパスポート試験」とは別物: 試験ではなく、合格者向けのオープンバッジ
- 活用シーン: 名刺・履歴書・SNSでの個人の学習成果証明、社内のリテラシー可視化、採用ブランディング
- DX推進7ステップ: ビジョン策定 → 現状分析 → ロードマップ → 人材育成(DX推進パスポート活用)→ ガバナンス → 業務フロー再設計 → 外部評価で改善サイクル
IPA「DX動向2025」が示すように、DX人材不足は日本企業の85.1%が直面する最大の課題です。DX推進パスポートを社内学習のKPIに据え、ビジョンとガバナンスを両輪で整備すれば、激しい市場変化のなかでも持続的成長を実現できます。




